時間がある時には立ち寄る。そこで展示品を観ながら1時間ほどを過ごす。館内の案内人というか、学芸員というか、まあ職員といったらいいか、何と呼んだらいいかわからないが、その人たちが感じのいい人たちである。まず親切である。みな年配者である。きちんとスーツを着こなしていてスマートで背が高い。執事のような、映画に出てくるイギリス紳士のような人たちである。おそらくは現役時代は出光の商社マンとして海外を飛び回っていたのだろう。引退してここにいるのだろう。風格があり、僕はすっかり気に入ってしまった。
疲れたら、休憩室でゆったりソファに腰掛けて、お茶を飲みながら過ごすのがまた至福のひとときである。お茶は無料である。緑茶もあればウーロン茶もある。その他にもある。ホットもあれば冷えたのもある。こんな美術館は例がないだろう。ファンも多い。希望すれば会員制のクラブもあるようだ。都会的であか抜けている。特に夕方がいい。休憩室の正面は皇居のお堀である。ここから見下ろす夕暮れの皇居のたたずまいはちょっといい。
さて昨日のことだが、僕は江戸時代の絵師、英一蝶(ハナブサイッチョウ)の絵に興味があるのだが、一蝶の『四季日待図巻』が出光美術館で見られると新聞で知り、出かけて行った。「日本の美・発見U やまと絵の譜」と題して、館所蔵のやまと絵を展示してあった。その中に一蝶のものは3点あった。『凧揚げ図』一幅、『桜花紅葉図』双幅、そして『四季日待図巻』一巻であった。
『四季日待図巻』は見ごたえがあった。一説によると、一蝶はこの作品を描いた時期、なにかの罪で三宅島あたりに送られて不如意な生活を送っていたのでないかと言われている。画面の色調が少し淡いのはそのせいか絵具にも不自由していたのでないか。それにしても江戸での楽しかった頃の生活を思い出して、元禄のころの江戸の庶民の生活が丹念に正確に描かれている。一見に値する。
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