7時からテント前でプロローグの野外劇が始まった。 僕は一番前の列にいたのでしゃがんで観た。役者のつばきが飛んで来るほど眼の前で演じている。ぎっしり立って観ている客を押し分けて役者が現れたり、クレーンの上に登場したりして演ずる役者たちは一生懸命である。そのうち煙玉を使ったので、その煙りと臭いにむせて喉が痛くなってたまらず、脇に逃げて立って観ていた。この野外プロローグで演者と観客に一体感が生まれる。現在と過去が行ったり来たりする不思議な世界に観客はさそいこまれていく。夕暮れの薄暗闇の中で演じられる現実であって非現実の世界である。
プロローグが終わって、いよいよテントの中へ入る。観客は劇団員に誘導されて、一人ずつやっと通れる入口からテント内の桟敷席に靴を脱いで手に持って案内される。肩も膝も尻も背中も触れ合うほどの狭い席にびっしり座る。終演までの約2時間見動くもできないほどの場所で演劇を鑑賞するのである。これが厭なら観に来なければいい。この会場は200人も入ればいっぱいだろう。そこへ楽日とあって230人は入っているだろう。まさに超満員である。立ち見もいる。僕は劇団を見に来たのは昨年、一昨年と今度で3回目である。過去2回は一番前の席であった。池が前に作ってある。役者がよくこの中に飛び込んだり潜ったりする。フィナーレには天井から何トンとも思われる量の水が大量に降ってくる池である。水族館劇場得意芸の池である。だからこの近くの席に座る客は、ビニールを被って観る。相撲の砂被りの席なんてもんじゃない。
今度座った劇は3階特等席だ。3階と言っても3階建てになっているわけではない。舞台前の席から急斜面になって席が設けられている。その一番高い席といえばいいだろう。照明席の前の席である。したがって見通しがいい。(続)
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