そこで僕は事故にも合わず病気にもならず平均寿命を全うできるならば、あと8年4か月は生きられるということになる(僕の年齢はこれで正確におわかりになったでしょう)。とにかく月に直せばあと100月、日に直せば3000日である。皆さんも計算してみてはいかがでしょうか。僕は3000日である。かつて『生きる』という映画があった。主人公はがんであと1か月(いや3か月だったか、忘れたが)と医師から宣告された。そして残された日々を彼は懸命に生きた。それに比べたら3000日は気の遠くなるほど長い。ところが僕は計算してみてこんなの少ないのかと愕然としたのだ。若い人から見ればいい気なものだと思われるかもしれない。でもこれが実感である。この歳になってもまだ自分は若いつもりでいるのである。そうして人生はあっという間だったと、物思いにふけっているのである。
残り3000日をどう生きようかと考えている。特に食べたいものもない。行きたいところももうあまりない。やり残したことはあまりに多くて全部はもうできそうもない。その中で一番やりたいことはやはりいい本をできるだけ読んでおきたい。3000日あればかなり読める。古今東西の名著といわれるものをできるだけ読んでおきたい。読書三昧、それもいいな。それともう一つ、自分で納得できる俳句をこの世の記念に一句だけでいいから詠みたい。贅沢は言わない、一句でいい。そして忽然と消えていきたい。
なんのその百年後は塵芥(チリアクタ)
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