自宅の机上に『吉川市史 民俗編』という分厚い本がある。この2,3日ときどき開いて読み耽っている。実におもしろい。僕はいままで民俗学の本を読んだこともなかったし、興味もなかった。吉川市とは千葉県寄りの埼玉県にある中堅都市である。僕は吉川市へ行ったこともないし、この本と出会わなかったらこの町とは一生無縁で終わってしまっただろう。しかし今ではこの町が、中川と江戸川に挟まれ、古くから葛飾早稲米の産地として知られ、また河川の恩恵を受ける一方、水害に悩まされてきたなど、町の歴史についてもある程度知ったし、この地で暮らしてきた人々の主に大正以降の伝統的な生活史などもわかった。
先日地元のJRの駅でたまたま、地域では民俗学者としてよく知られている内田賢作氏と十数年振りに出会って、車内でご一緒して話した、そのときはそれだけで別れたが、数日後内田氏が上記の本を持参して訪ねてきてくださり、お暇な折に読んでみてくださいと置いていったのである。
平成22年に出版社「ぎょうせい」印刷の『吉川市史 民俗編』(吉川市発行 吉川市史編纂委員会編集)は、第1巻『吉川市史 資料編 原始・古代・中世』に続く第2巻として刊行されたもので、吉川市史全7巻を刊行する計画である。僕がいただいたこの第2巻『民俗編』は内田健作氏が部会長として中心となってまとめたものである。このような市史は地味であるが資料としては第1級のものが多く、どこの図書館にも奥の一角に郷土史関係として置かれている。
内田賢作氏については、『図説日本民俗誌 埼玉』(岩崎美術社 1986年 ) というすぐれた著書もあり、永く県内各市の市史等の研究にも貢献しており、日本民俗学会の重鎮の一人である。僕は彼のような地域に根ざした研究をこつこつと続けている学者にあらためて深い尊敬の念を抱く。そのうち機会をつくってゆっくりご高説を拝聴したいと思っている。
posted by tora13 at 11:33| 埼玉

|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
日記
|

|